株価暴落を防ぐ表向き・裏面のシステム


 

サーキット・ブレーカーは株式市場にも存在する

一般家庭でのサーキット・ブレーカー(回路遮断器)は、部屋の電気の使用量が一時的に高くなりすぎると、落ちるシステムになっています。
これは、経験した方も非常に多いでしょう。
証券市場も同じで、上昇・下落に関係なく、取引が過熱した際に機能するサーキット・ブレーカーのシステムが取り入れられています。

投資家は、株価が急落している時、取引の判断に時間をかける余裕がありません。
ひとまず株式を売却して、さらなる株価下落に伴う損失の回避を試みます。
投資家は全て同様の行動をとるため、株価はどんどん下落していきます。
このように、市場に存在する多数の投資家が、冷静な取引を行えなくなった場合、市場を一時的に閉鎖して取引を一時休止する方法が有効という考えもあります。

日本の株式市場におけるサーキット・ブレーカーの歴史は古く、江戸時代のコメ相場にまで遡ります。
前日の終値を基準に、1日の呼値を一定範囲内に制限する制度で、株価の急騰・急落の自動緩和が目的です。
呼値の制限は、株価水準の前日終値にもよりますが、以下のような基準値段によって定められています。

○100円未満→上下30円
○100円以上200円未満→上下50円
○1000万円以上1500万円未満→上下200万円

現在の株式市場では、現物株市場に限定してサーキット・ブレーカーを設置したところで、効果も限定的なものです。
株価指数先物・オプション取引が発達しており、派生証券の取引にかかるコストは、現物と比較すると安価です。
また、保有資金と比較すると大きなポジションが取れるレバレッジ効果を利用し、株価が下落すると先物の売りが増加します。
その結果、価格は急落し、現物の価格下落を招きます。
この事から、TOPIX先物市場・日経225先物市場では、現物と先物の価格差が広がると、取引を中断します。
中断時間は15分間です。

世界金融危機の後に多くの空売りが規制された

2008年10月に発生した世界金融危機に伴う株式市場崩落を受けて、空売りに対する規制が導入されました。

○取引直前の市場価格を下回る空売りの禁止
○売り付けの際、空売りである旨の明示義務
○証券取引所は全銘柄の合計と業種別の空売りの状況を日次で公表する
○ネーキッド・ショート・セリング(株の手当てがない空売り)の禁止

さらに入念な対処として、金融庁・証券取引等監視委員会・東京証券取引所による空売り規制の徹底的な違反調査が行われました。
対象は過去にも遡り、違反者は処罰を受けました。

アメリカの市場でも、値幅・ポジション・出来高・取引などに制限を設けるサーキット・ブレーカーが存在します。
2008年9月に発生した株価暴落の際、アメリカのSECは空売りの全面規制を実施しました。

裏面の株価防衛策は日本にもアメリカにも存在する

現在、金融資産の蓄積が進行しています。
株価・不動産価格の上昇・下落は、家計の消費や企業による投資活動などに影響を及ぼします。
国民経済の成長率……つまり景気に影響が及ぶわけです。
そのため、サーキット・ブレーカー以上に大規模な株価防衛策が実施されるケースもあります。

過去の日本では、公的資金の投入により、株価を下から支える動向が見られました。
代表例としては、自衛隊による平和維持活動をもじって、1992年10月に名付けられたPKO(Price Keeping Operation)が挙げられます。
アメリカ政府では、景気が少なからず株価動向の影響を受けているとして、株価指数先物市場などへ介入し、株価崩落を防いでいるともいわれています。

1988年3月、当時のレーガン大統領は、大統領令12631号に署名しました。
危機においても、株式市場を筆頭とする金融システムの秩序を維持し、投資家からの信頼を守るための対策をとる目的で、金融市場ワーキンググループを発足させました。
メンバーの内訳は、財務長官・連邦準備委員会議長・SEC委員長・CFTC先物取引委員会委員長の4名で、金融資本市場関連のトップとなる存在です。
同グループは、アメリカの市場関係者間ではPPT(暴落阻止チーム)と称されており、介入策を実施する主体です。
しかし、PPTの存在・活動について、アメリカ政府による公的な認可はされていません。

世界中の金融市場は大規模なグローバル化が進んでいます。
しかも、金融である事から、非常に速いペースで展開しています。
そのため、今後もサーキット・ブレーカーが機能する局面は、多かれ少なかれ現われると考えられます。
さらに、PKOやPPT類の今後の活動は、メディアなどで大きくとりあげられ、存在の是非も含めて活発な議論がなされるでしょう。

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